皮下組織・その他の器官

皮下組織

真皮の下にある皮下組織。その大部分は皮下脂肪(脂肪細胞)でできています。脂肪細胞には白色脂肪細胞と、褐色脂肪細胞があり、外からの衝撃を和らげて体の内部を守ったり、体温を保つための断熱材のような働きをしたりしています。

白色脂肪細胞はいわゆる「脂肪」で、筋肉をほどよく覆って女性らしいボディラインやお肌のハリを演出してくれます。摂取カロリーとエネルギー消費量のバランスによって量が変わるため、増えすぎると肥満になったり、皮下組織全体がぶ厚くなって真皮の弾力性を損ない、老化していないお肌までたるませたりもします。脂肪は多すぎず少なすぎずが、健康はもちろん美肌にもベストなのです。

皮下組織は、皮膚や皮膚の付属器官に栄養を運ぶ血管や、リンパ管の通り道でもあります。真皮上部にネット状に広がる毛細血管は皮下組織にある血管から枝分かれしたもの。毛細血管から滲み出た血漿成分がリンパ(リンパ液)となり、周りの細胞や血管がない表皮へ栄養を届け、細胞からは老廃物を受け取って血管(静脈)やリンパ管へ戻ってゆきます。だから、血液やリンパの流れが良いと、お肌もよりキレイになれるというわけです。

皮膚の付属器官

皮膚には、表皮・真皮・皮下組織のほかに、毛髪、爪、皮脂腺、汗腺など表皮が形を変えてできたとされる「皮膚の付属器官」があります。皮膚の付属器官にはそれぞれ大事な役割がありますが、今回は、夏に気になる汗に関わりのある、汗腺について解説しましょう。

汗はホントは臭くない?
ニオイの原因徹底究明!

付属器官のひとつで、汗を出す汗腺にはエクリン腺(小汗腺)アポクリン腺(大汗腺)アポエクリン腺の3種類があります。

エクリン腺はいわゆる汗(エクリン汗)を分泌する器官で、ほぼ全身にあります(注1)。皮膚の表面に、毛孔(毛穴)とは違う独立した排出口(汗口/汗孔)を持ち、1時間に1リットル以上、1日最大10リットルもの汗を出すことで体温の上がりすぎを防いだり、皮脂と混ざり合って皮脂膜となって肌をうるおしたりしています。

エクリン汗の成分の約99%は水、残りの固形成分(0.3~1.5%)の大部分は塩化ナトリウム(食塩)。だから舐めると塩辛いのです。その他の微量な成分は尿素、乳酸、硫化物、アンモニア、尿酸、クレアチニン、アミノ酸など。これは尿の成分とも似ていますが、本来、汗は無色透明で臭気もほとんどありません。

汗腺図解

アポクリン腺は腋の下、乳輪、へそ、陰部付近にあります。性的アピールなどの機能があるとされ、大きさはエクリン腺の10倍くらい。アポクリン腺はエクリン腺のように独立しておらず、汗(アポクリン汗)は毛孔から出ます。アポエクリン腺は近年新しく知られるようになった汗腺でまだその働きについてはよく分かっていません。思春期に発達し、大きさはアポクリン腺と同じくらい。多汗症の人の腋の下にある汗腺の約3割がこれだと言われています。なお、この2つの汗腺は数が少ないので体温にはほとんど影響を与えません。

体のためにいろいろと働いてくれる汗。しかし時々困ってしまうのがそのニオイです。色もニオイもなかったはずの汗が、なぜ臭うようになるのでしょう。実は、汗のニオイには、皮膚に付着したり空気中に漂ったりしている、なんでもない細菌が深く関わっています。

エクリン汗は乳酸と尿酸を含むため、普段は弱酸性。細菌の繁殖を抑える働きがあります。しかし一時に大量に汗をかくと、だんだんアルカリ性に傾いた汗が出るように。そうなると細菌が活発になって汗の成分を分解、いわゆる「汗くささ」の原因物質ができてしまうのです。

気になる腋のニオイも細菌分解が主な原因。腋の下に多いアポクリン汗腺の汗は弱アルカリ性な上、エクリン汗と違って汗腺細胞の一部(タンパク質や脂肪)も混ざりこんでいるので細菌に感染しやすくなっています。その細菌がアポクリン汗の成分を分解して脂肪酸などの臭いやすい物質を作ってしまうというわけ。

かきっぱなしの汗を「細菌が分解」するから臭くなる。ならば、そこを何とかすれば気になるニオイをうまく抑えることができるかも!

注1 総数200万個以上。個人差の他、生活環境や気候風土によっても数が異なる。

(2008年7月初出)

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